新年、あけましておめでとうございます。
昨年ほど、ニュースやTV・CMなどで「微生物」が注目された年はなかったのではないでしょうか。
秋の医学生理学賞を受賞した大村教授:『私の仕事は微生物がやっている仕事をいただいたもの』の言葉とともに、その可能性をより大きく、広く知らしめた。とも感じます。
そして、ネット上でも多方面で新たな開発や研究が着々と進んでいます。まさに『微生物の時代』の幕開けです。
私たちも、微生物関連の「事業化」の可能性を模索して、16回の記事を重ねてきました。
今年は何らかの足がかりを見出して「実現」に近づきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
事業化に向けた既存事業シリーズとしては「ヒト」に係る事業を扱うつもりですが、その前に、新年にふさわしく?、生命の起源=「微生物の起源」を紐解いていく事にします。
具体的な事業を考える上でも、根源的な原理を押さえる事は、必要不可欠だと思うからです。
これまでの定説を覆す、驚くべき新しい認識が整理され、るいネットに掲載されていますので、紹介してゆきます。
【概況】
36~34億年前(生物誕生)
最古の微生物化石は、酸素の無い状態で、硫黄を代謝してエネルギーとした原核生物。
古細菌の一種と推定されているが。この時期に真生細菌も登場したとされる。両者とも0.5~2μm位のサイズの非常に小さな単細胞生物。
これらが海底の地下深くで、生命前駆体から進化して登場。現在発見されているハイパースライムは、この末裔ではないかと推定されている。
34~32億年前(ハイパースライムの中から、硫黄発生型光合成菌の登場)
硫化水素の豊富な粘土堆積層の中のスーパースライムから、光合成細菌か登場した。この光合成は現在の植物とは異なり、硫化水素を分解し硫黄を生み出すことでエネルギーを得ている。
またこれは、現在の植物とは異なるクロロフィル、「バクテリオクロロフィル」を持ち、それを用いて、光合成をしている。そして、バクテリオクロロフィルは植物クロロフィルが吸収する可視光よりも少し波長が長い近赤外線を吸収する特徴を持つ。この機能を利用して、海底の地球深くの熱から出る、近赤外線を利用して光合成を行った。
光合成細菌は、熱水に近づきすぎてゆだってしまわないセンサーとして色素を使っていたのではないか。赤外線を遠くから感知するためのセンサーとして使われていた色素が、やがて光合成色素に使われるように進化した可能性もある。生物の起源も、光合成の起源も深海にある可能性が高い。
【根拠理論など】
深海の熱水噴出口で、「αプロテオバクテリア」の仲間と思われる生物が発見され、「Citromicrobium bathyomarinum」との学名が付けられた。(上図)
αプロテオバクテリアは、ミトコンドリアの起源となった細菌の仲間で、光合成細菌の多くもこれに含まれる。そして、Citromicrobiumも、バクテリオクロロフィルaを持つ。それに対して、酸素発生型の光合成(植物・シアノバクテリア)は可視光線を利用している。
熱水噴出口近くの温度は400℃にも達する(地下はもっと熱い)。周囲には、弱いながらも赤外線が放射されている。水には赤外線を吸収する性質がある。このため、その部分の波長が削られ、周囲には800~950 nmと1,000~1,050 nmの2カ所でピークを持つ赤外線が放射されている。これは、まさにバクテリオクロロフィルaとバクテリオクロロフィルb色素の吸収波長領域と一致する。
今までの論理は、光の届く浅海で硫黄排出型光合成菌(初期光合成菌)も登場したとされるが、宇宙線による細胞の破壊や、餌の硫化水素は水中では密度は薄いことなど、矛盾点が多い。
それに対して、海底発生説は、宇宙線から免れ、粘土鉱物に中には硫化水素も濃縮されているため整合する。また、硫黄排出型光合成細菌は、生態的に硫化水素を餌にした化学合成細菌と非常に近いので、進化過程も説明しやすい。
いかがでしたか?
今後数回かけて、この様に、微生物の起源に迫る記事を連載していきます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
画像は以下のサイトからお借りしました。ありがとうございました。
・ハイパースライム:https://www.miraikan.jst.go.jp/sp/deep_science/special/new/people_03_04.html
・超高熱微生物生態系:http://moriyama.com/node/2010/04/05/2356
・バクテリオクロロフィル:http://www.seibutsushi.net/blog/2013/03/1374.html
・Citromicrobium bathyomarinum:http://jb.asm.org/content/181/15/4517.full.pdf