農から考える自然の摂理~「土の仕組みを探る」:大地5億年の歴史が100年足らずで破壊されていく
これまで見てきたように、自然界では、土が酸性になる現象はあるものの、生態系全体としては養分が失われにくい仕組みを絶妙なバランスの下で成立させてきた。 【「土の仕組みを探る」:瀕死の微生物たちが森の生態系を守る】 農業も、初期は焼畑農業をはじめ自然界の仕組みに寄り添いながら生産力を少しずつ高めていく手法が試行錯誤されてきた。 【古代から受け継がれる焼畑農業~農業を森の生態系に組込む仕組み~】...
View Article【農の歴史】第9回 江戸の生産革命を支えた組織体制「五人組」とは
前回の記事「江戸の農」より、江戸の農は小農化→勤勉化により、生産性を大幅に伸ばしたことが分かってきました。 これを「勤勉革命」と言いますが、この言葉は西洋の「産業革命」と比較して、経済学者の速水融氏によって提唱された言葉です。 こちらの記事に言葉の意味が紹介されています。 ***...
View Article「農の歴史」シリーズまとめ~歴史に学ぶ農の可能性と危険性
(最初に立てたテーマの構成) 1.農業の起源 2.林業・漁業の起源 3.日本への農業の輸入 4.村落共同体の起源 5.江戸時代、農民は百姓と呼ばれた。 ※6.戦後大きく変わった農業生産と共同体。その変遷と現在を見ていく。併せて林業、漁業の現状にも触れて、次の世代の可能性を考えていく。(このテーマは次回) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
View Article『農村学校をつくろう!』シリーズ-13~農の場は人材育成・能力形成の場として最適!
前回、前々回の記事で、農村学校に求められるのは、農・地域の担い手育成であること。そして、その担い手に求められる能力についてまとめてきました。 今回の記事では、 “農村学校には、農業を通じて、農村の担い手を作っていく実現基盤がある“という可能性を示してみたいともいます。 ■能力形成のカギは、仲間・自然と一体化すること!...
View Article植物は「種としてどのように外圧に適応するか」を第一に考え、世代を超えてその記憶をDNAに刻印している
植物は皆さんもご存じのように脳を持ちません。しかし彼らは種にある胚が、外圧状況を把握しながら、発芽のタイミングを見計らっているというのは、前回のブログでお伝えしました。 では一方で、植物はこれまでの経験を「記憶」することはできるのでしょうか?実はこれにも種が大きな役割を担っているのです。 実は植物の種は外圧を敏感にキャッチし、その記憶を次の世代に伝えていく役割を担っているのです。...
View Article『農村学校をつくろう!』シリーズ-まとめ~農を核とした、人⇒集団⇒地域⇒社会の再生
本シリーズでは、現代の教育問題(子どもたちの生きる力の衰退)と、農の担い手不足を突破していくために、農を基盤とした学び場づくりの可能性を掘り下げてきました。 農を取り巻く学び場づくりは、いろんな位相にわたります。そこで最終回では、これまでの気づきを踏まえ、農を核として「人づくり⇒集団づくり⇒地域づくり⇒社会づくり」をどう実現していくか、今後の展望を示したいと思います。 ★【人づくり...
View Article農ブログ~3つの新シリーズ紹介。「世界の食と農」「食糧問題って本当にあるの」「農と政治~農協から」
9月から11月まで約3ヶ月間かけて以下の3つのシリーズを繋げてきました。 農ブログリニューアルの最初のシリーズです。 ・「農の歴史」全13回 ・「土のしくみを考える」全14回~これからまとめ記事 ・「農業学校をつくろう」全13回~これからまとめ記事 全く違った3つの切り口で農の追求をしてきました。...
View Article農から考える自然の摂理~「土の仕組みを探る」:これからの農業を考える羅針盤として
普段当たり前のように、私たちの足下に広がる「土」。その「土」に危機が迫っているという認識から始まった【土の仕組みを探る】シリーズ。 ★失われつつある肥沃な土壌 シリーズ最後となる今回は、五億年とも言われる大地の歴史を改めて振り返りながら、自然の摂理に即した農業の在り方、今後の課題を見出していきたい。 ●生き抜くためのせめぎ合い。結果としての共生...
View Article『世界の農と食』シリーズ:イントロ~世界の農は近代的な大規模農業から、どう構造転換していくか?~
今回のシリーズでは、農業の課題を、日本の外の世界に視点を向けて追求していきたいと思います。 世界の農業を見てみると、「先進国ほど食料自給率が高く、途上国ほど食料自給率が低い」という逆転現象が起こっています。これは、近代農業によって大量生産し、市場にどんどん流し込んで、市場拡大に突き進んだからです。農業技術を持っている大国は、海外に輸出するほどまでに生産力を拡大してきました。...
View Article『農業と政治』シリーズ、はじめます~農協は、農業・農家・消費者に何をもたらしてきたのか
新たなシリーズ【農業と政治】。 文字通り私たち国民の食を守る仕事=農業。この基幹産業の発展あるいは衰退に、政治はどのように関わってきたのか。そして今後、どのような政策が求められていくのか。 本シリーズでは、政策の実働部隊ともいえる「農業協同組合」の成立背景・活動の歴史と実態の解明に照準を当てながら追求を深めていきます。...
View Article『食糧問題』シリーズ:イントロ~世界で食糧問題が起こる構造に迫り、持続的な安定供給できる生産・流通の仕組みを探る
新しいシリーズ『食糧問題』シリーズを始めます。 国連等で組織する「食料危機対策グローバルネットワーク」の報告によると、2020年時点で、世界の食糧危機の状況はかなり深刻化していると報告されています。 2020年に55の国・地域において、少なくとも1億5,500万人が危機的またはそれ以上のレベル(IPC/CH Phase 3 or...
View Article【世界の食と農】第1回 アメリカ~世界一効率的な農業は、世界一不安定な農業になった~
世界の食と農シリーズ第一回目は、日本とも政治的つながりが強いアメリカにいついて追求していきます。 アメリカの農業生産額は、中国、インドに続き世界第3位。更に農産物・食料品の輸出額については世界1位。世界有数の農業大国としてもその名は有名です。 日本もアメリカから多くの農作物や食品を輸入しており、「アメリカからのトウモロコシが途絶えれば日本の家畜は1日も持たない」と言われるほど、食料依存しています。...
View Article『食糧問題』シリーズ:アフリカが飢餓に陥る原因は、西洋諸国による「緩やかな略奪の構造」にある
食糧問題を扱う本シリーズ、記念すべき2回目の投稿です。前回は全世界の飢餓マップ=ハンガーマップを見ながら、まだまだ飢餓状態にある国が多くあるという現実をおさえつつ、一方で世界全体の穀物の生産量は、すでに世界の消費量を軽く上回っているという事実も押えました。 ここからわかってくることは、地域によって食料を占有していく国もあれば、食料が手に入らない国もあるということです。...
View Article『農業と政治』シリーズ 第1回 江戸の小農制が良くも悪くも、その後の日本の農業を作った
農業には農家という言葉があるように農業を支えるのは各家族である。 この傾向が始まったのは江戸時代の小農政策にある。...
View Article『農業と政治』シリーズ 第2回~急激な近代化圧力を前に捻じれていく農協の原型
・江戸末期、苦しむ農民を救うために生まれた農協の源流「先祖株組合」 ・江戸時代の小農政策が農協必要の原点 『農と政治』シリーズ第3弾となる今回は、明治時代にスポットを当てます。 一般に農協の前身と言われる「産業組合」が設立された明治時代。 しかし実はもう一つ、後の農協の原型となる組織が同じ時代に生まれています。...
View Article『食糧問題』シリーズ3:世界的な食糧危機(食料不足)はおこるのか?~国連フェイク報告の実際
「食糧問題」シリーズ、記念すべき3回目の記事です! 前回の記事では、ハンガーマップを見ながら、飢餓問題が特に深刻となっているアフリカ大陸に焦点を当て、世界の食料分配に大きな偏りが出てしまう構造について押さえました。 植民地支配時代の構造をそのままに、西洋諸国による「緩やかな略奪の構造」が飢餓問題を生み出していることが見えてきたのでした。...
View Article【世界の食と農】第2回 アメリカ~世界の民衆立ち上がる。脱・アメリカの大潮流へ。~
前回の投稿では、世界最大の農作物輸出国のアメリカの現状と、そして、遺伝子組み換え作物や種苗・農薬などを大量に世界に輸出している現状について整理してきました。 今回の投稿では、なぜアメリカは、激しく環境破壊されるほどの大量生産⇒海外輸出をあり続けているのでしょうか?最新の動きについて見てみたいと思います。 写真は、こちらからお借りしました。 ■アメリカは、なぜ大量に農作物を生産しているのか?...
View Article「農業と政治」シリーズ 第3回 戦後の農協を作ったのはGHQではない 日本の政治家だった。
戦後はGHQによる農地改革がGHQの日本支配の3大骨格として教科書などでは記述されるが、他の2つはともかくとして農地改革はどうも事実としてGHQの明確な方針はなく実行部隊は日本人の中に居た。...
View Article【世界の食と農】第3回 アメリカ~市民初の「小さな農業」が、アメリカの農のかたちを変えていく~
前回までアメリカ農業の課題と支配構造、それらに立ち向かう民衆の潮流を紹介してきました。...
View Article『農業と政治』シリーズ4:食文化支配という占領政策の下で衰退していく国内農業
戦後、GHQが提案した農業協同組合法(1947)に基づいて誕生した農協は、建前としては「農業者の自主的組織」として出発しましたが、実態としては占領軍と政府の利害調整の末に出来上がった組織であり、農家に対する「統制」組織としての役割を果たすために誕生した組織と言えます。 【果たされなかった真の農政改革】...
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