食糧問題シリーズ10(最終回):「自分たちの生きる場は、自分たちで作る」からこそ農業に活力が生まれる
食糧問題シリーズも今回で最終回です。今回はこれまでの復習と、そこから見えてくるこれからの農業の姿を見ていきたいと思います。 まずこの食糧問題シリーズ第1回目(リンク)では、世界の飢餓マップをおさえ、世界全体でみれば、けして食料が足りていないわけではないという事実と、局地的に飢餓が起こる原因は「生産と流通に問題があるのではないか?」という仮説を出しました。...
View Article【世界の食と農】第10回 中国~市場原理に飲まれる農業、その矛先は「日本」。~
前回の投稿では、中国の農業の実態について押さえていきました。 国民の5割を占める農家がいるにもかかわらず、産業における売上構成比は15%しかなく、非常に零細な産業に陥ってしまっていること。そして、これを何とか解決しようと、農家を組織化して、規模拡大によって「量から質へ」の転換を図っていこうとしている試行錯誤について見てきました。 画像は、こちらからお借りしました。...
View Article『農業と政治』シリーズ12:柳田國男の志をこれからの農政に活かす
『農業と政治』シリーズ8:柳田國男が見た日本の農業 『農業と政治』シリーズ10:柳田國男が指摘する農業の問題構造 明治時代、彼が志した農政改革の中心にあり続けた思考は、「真に支援すべき対象は誰か」ということ。 それは、現在深刻な後継者不足に陥っている日本農業の再生を考える上で大変示唆に富んだものです。 彼の志を汲み取った、これから求められる農政とは。...
View Article【世界の食と農】第11回 ブラジル~サバンナ大開拓と強い種子に生き残りを掛けた南米最大の農業国~
今回は、南米の農業大国ブラジルについてみていきたいと思います。 日本から反対側にある南米の国。しかし1908年の笠戸丸移住にはじまる日本人労働者の大移住が有名なように、日本人にとって親しみのある国ですね。 ■ブラジル農業の概観...
View Article『農業と政治』シリーズ 最終回:日本人のお上意識が農業を農協の意のままにしてきた
農業と政治シリーズは副軸として「農協って何」というテーマで追求していきました。農協から農業に関わる政治を見るという試みでしたが、農協とは共同組合というのは名ばかりで政治と極めて近い位置にあり、時には政治そのものにもなっていきます。つまり、農協の追求では政治(国家の意図)は見えないということで、最終回まで来ました。...
View Article【世界の食と農】まとめ~世界の農を巡る覇権争いは、これからどうなる?~
これまで11回にわたり、さまざまな国家の農と食を取り巻く可能性や課題を見てきました。今回の投稿では、ここから見えてきた世界の農を取りまく覇権争いについて考え、これからの時代にどうなっていくのか?を見ていきたいと思います。 『穀物生産量ランキングマップ』 【これまでの投稿】 ・アメリカ編: 大規模農業と、市民発の新しい萌芽(第1回)(第2回)(第3回) ・オランダ編:...
View Articleシリーズ『種』1プロローグ~持続可能な農業の要は「種」!
今回から新しいシーリーズ「種」をはじめます!! 近年、肥料・農薬などの農業資材の高騰がニュースでも取り沙汰されており、実際に私が仕事で関わっている生産者さんからも、資材費が高騰し経営を圧迫しているという話を聞くようになりました。農業資材は、ほとんどを海外からの輸入に頼っているのが現状で、したがって、農家の経営は世界情勢の影響を直接に受けることになり、結果的に非常に不安定になっているのです。...
View Article『稼ぐ農』シリーズ1~稼ぐ力の基盤は何か?
30年後には就業者が現在の1/3、1/4まで落ち込むとも言われる国内農業。 担い手不足の問題は深刻です。 本来、次代の農業者を育てる期待が掛かっていたはずの農政・農協も、 ”小農、零細農を保護したため、農協は太り、金融機関に変化、一方で本気で農業をやろうとする人材のやる気を削ぎ、高齢化農に進んでいった。” にある通り、いまだ根本的な解決策を打ち出せずにいます。...
View Articleシリーズ『種』2~タネを人為的に交配するようになった外圧をつかむ。~
前回のシリーズ『種』プロローグでは、自給自足型の農業を実現していくためには、種が重要なのではないか?という仮説のもとに、農薬を使わずに、タネ本来が持つ成長の力で育つ「固定種」の可能性について見てきました。 古来より、野菜から採取したタネを代々同じ土地で育てていくことが常でした。このようにして継承されてきた在来種・固定種という呼ばれ方をします。...
View Article『稼ぐ農』シリーズ2~現場の緻密な追求と評価こそ「稼ぐ農」の基盤になる~
『稼ぐ農シリーズ』第2回目は、初回でも紹介した「サラダボウル」についてより具体的に見ていこうと思います。 サラダボウルの創立者である田中氏はもともと金融業のサラリーマンだったそうです。いろんな企業を見てきた方だからこそ農業をビジネスとして成り立たせる様々な追求をされてきました。...
View Articleシリーズ『種』3:品種改良技術の歴史① 伝統的手法~F1種子開発まで
シリーズ『種』、前回の記事では、人為的に作られた種であるF1種が作られ、世界的に広がった歴史と社会の外圧状況をさかのぼりました。F1種は、戦後の物的需要に応える釈迦潮流の中で普及し、その歴史はまだ数十年であることがわかりました。 今回から2回にわたり、品種改良技術の歴史を見ていきます。 本記事では、F1種以前の品種改良手法までさかのぼり、F1種とは何なのか?をもう少し深堀していきます。...
View Article『稼ぐ農』シリーズ4~北海道の農業事情(稼ぐ力の背景)
農家の平均年収(H26農業経営統計調査) 1位:北海道:787万円 2位:東北:448万円 3位:北陸:477万円 収入面で他の地域を大きく引き離す北海道の農家。 北海道の農業といえば広々とした土地で大規模経営というイメージが強いですが、今回は様々なデータから、その内実を明らかにしていきたいと思います。 調べていくと、北海道の農業には以下のような特徴が見えてきます。...
View Articleシリーズ『種』4:品種改良技術の歴史②~最先端の遺伝子組み換え・ゲノム編集技術~
前回の投稿では、農作物の品種改良技術の歴史を遡り、「異なる作物を交配させて、より良い作物を作るF1種の技術」について詳しく見てきました。 今回の投稿では、さらに技術進化させ、現代農業の最先端の遺伝子組み換え・ゲノム編集技術について見ていきます。 トウモロコシの起源となる植物(左)と、トウモロコシ。 品種改良を繰り返して、現在のカタチになった。 画像は、こちらからお借りしました。...
View Articleシリーズ『種』5:獲得形質の遺伝①~DNAだけでは遺伝や生物の進化は説明しきれない
前回、前々回の記事で、農産物の品種改良の仕組みを歴史を追いながら見てきました。 1900年のメンデルの法則の再発見以来、人類はDNAによる遺伝の仕組みに注目して、交雑を繰り返したり、もしくは直接的にDNA(とそれによってつくられる遺伝子情報・ゲノム情報)を改変することによって、様々な野菜を生み出してきたのでした。 しかし、ここまで調べてみて、遺伝の仕組みについてひとつ疑問に思うことがあります。...
View Articleコラム:直売所でしか売られない野菜紹介シリーズ①『葉玉ねぎ』
突然ですが、みなさんはいつもどんな野菜を食べていますか? 実は野菜の中には「規格化できない」「日持ちしない」などの理由で、一般のスーパーには並ばない野菜がたくさんあります。...
View Article『稼ぐ農』シリーズ5 農業を制するには”流通”は避けて通れない
稼ぐシリーズもいよいよ中盤にかかります。 今回は「流通」に注目します。稼ぐ農において避けて通れないのが農の流通です。 農家は末端価格の半分しか稼げず、結局農作物の価格の半分は流通と販売で稼いでいるのです。最初にこのテーマを追求する時に提起した17のテーマの中から流通に関わるテーマを選定し考えてみます。今回もネタを与えていただいたのは当ブログの知恵袋のK君です。...
View Articleシリーズ『種』6:獲得形質の遺伝②~親が後天的に獲得した力は、子孫に遺伝する~
前回の投稿では、「DNAだけでは、遺伝や生物の進化は説明できない」不整合を解明するために、『獲得形質』という考え方について触れました。 ■これまで遺伝は、DNA遺伝だけと思われてきた...
View Articleシリーズ『種』7:獲得形質の遺伝③〜獲得形質遺伝のメカニズムーRNAが遺伝する!
前回の記事では、獲得形質が遺伝している事例を見てみましたが、現象事実として、獲得形質の遺伝はあるということがわかっていただけたかと思います。 今回の記事では、獲得形質が遺伝するそのメカニズムについて、追求してみます。 (画像はこちらからお借りしました)...
View Article『稼ぐ農』シリーズ6~自分たちでつくって、運んで、売る。が創りだす価値
自分たちでつくったものを、自分たちで運び、自分たちで売る。 書いてしまえば当たり前のようにも思えますが、 こと農業において、生産・物流・販売、これら三つの領域を全て自社で賄っている会社は、ほぼ存在しません。それだけ難しいということでしょう。...
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